Accueil / 青春 / 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜 / 第1部 一章 【財前姉妹】その3 第十話 みんなで初詣

Partager

第1部 一章 【財前姉妹】その3 第十話 みんなで初詣

Auteur: 彼方
last update Date de publication: 2025-03-29 07:00:26

33.

第十話 みんなで初詣

 冬休み中にアンはショウコとサトコに麻雀をたっぷり教えた。ショウコもサトコも中々ルールを覚えられず苦戦したがそんな相手に教えるという経験がアンには新鮮でやり甲斐を感じた。すると

「わかったわ!」とショウコがふと言い出した。

「なにが?」

「麻雀は料理よ。与えられた具材でいかに最も価値ある一皿をムダなく手早く作ることが出来るか。そういうことじゃないの?」

「すごい! その通りよショウコ」

「だとしたら私たちには出来る。だって私たちは本来は料理研究部。料理を科学することの応用で麻雀も科学してしまえばいい」

 この日の気付きをきっかけに料理研究部の2人はその後、麻雀研究家としての才能を発揮していくのであった。

────

 元日

 麻雀部は勢揃いしていた。佐藤スグル、財前マナミ、財前カオリ、佐藤ユウ、井川ミサト、竹田アンナ、倉住ショウコ、浅野間サトコ、三尾谷ヒロコ、中條ヤチヨの計10名である。

「カオリは着物を着てきたんだ。似合うね~。素敵な色」

「ありがと、これはおばあちゃんが昔着てたものなんだ。気に入ってるの」

「おばあちゃんって昔は優秀な巫女だったって話のあのヨシエおばあちゃん?」

「そう、おばあちゃんは舞が上手で有名だったのよ。最初は私じゃなくて(前の)ママにあげたらしいんだけどママは胸がこう、やたら大きかったから上手く着こなせなくて私が貰うことになったの」

「あー、カオリはぺったんこだもんね」

「うっさいな!」

 受験を控えた3年生もこの日だけは集まった。今日は部活のみんなで鹿島神宮(かしまじんぐう)に初詣だ。鹿島神宮の神様は勝負の神様だ。麻雀部としては行かない手はない。 

 ワンマン運転の大洗鹿島線(おおあらいかしません)は麻雀娘たちを乗せて神様の元へと進んで行く。

鹿島神宮到着

「大きな鳥居ねー」と入り口の大鳥居をミサトが見上げる。ミサトはこちらに引っ越してきてまだ1年も経ってないので鹿島神宮へ来たのは初めてだ。佐藤家も引っ越してきて間もないが親戚がこの近くに居るので来たことは何回かある。他のみんなも少なくとも一度は来たことがある場所だったのでミサトだけが初めてだった。

「おみくじでも引くか」とミサトがおみくじを買いに行く。

 占いや迷信を好まないミサトもおみくじは引いてみたいようだ。こういうのは信じる信じないとかではなく『年に一度のイベント』ということなんだろう。

 混んでる中でもそれを無視して念入りにクジを選択するミサト。「むむむむむ…… これだぁ!!」

吉

「なんだ、吉かあー」

「でもでもほら、いい事書いてあるよ」とカオリが言う。

願望 叶う。

健康 良いだろう。

仕事 必ずや大きな成果を得る。

学業 そのままでいれば良い。

恋愛 幸せは必ず訪れる。

縁談 気にすることはない。ありのままでいれば良し。

勝負 勝てる。努力を惜しまなければ成果は出る。

家庭 優しさを感じるだろう。素直に受け取るがよい。

金運 良い。

人望 あなたが中心になる。

「えー、なになに。『得意不得意が人の個性である。他人の能力が羨ましいこともあるが、自分にも他人が羨む長所は必ずある。自分の価値に気付き、伸ばすがよい』だって」

「なんかいいじゃん」

 おみくじはカオリも引いた。

「おっ! ツモ。大吉!」

大吉

願望 努力すれば一度は叶う。

健康 心の甘えが病の元。気を引き締めるべし。

仕事 汗水流せば成果を得る。

学業 時間を忘れて没頭すべし。

恋愛 焦ることはない。

縁談 今はまだその時ではない。

勝負 挑む相手は自身の中にあり。

家庭 自然のままが良い。安心せよ。

金運 努力なしには得ることはない。

人望 社会の居場所は自分から作り出せ。

「えーと『人の道は平地にあらず、常に変化をしていくもの。階段のようにある人は登り、ある人は降りる』ってさ。え、アドバイスはしてくれないの? っていうか吉より大吉の方が内容が厳しいような気がするのは気のせいですか?」

 その後、人の波がどんどん押し寄せてきたので他のみんなは今おみくじを引くのは諦めた。

「しかしすごい人ね」とミサトは驚く。

「毎年この時期はこうよ。出店とかも普段はないんだけどね」

 やっと先頭になった一行は各々の願い事を神様へと届けた。

Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application

Dernier chapitre

  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】エピローグ 少女の心のままで

    235.財前姉妹 エピローグ 少女の心のままで その後はというと。 カオリとマナミは女流Aのタイトル戦へ挑むもシオリにことごとくやられるので武者修行が必要だという結論になり大学卒業後は都内の雀荘へと就職する。そこは、シオリが言っていた最強メンバーの集う雀荘『富士2号店』。そこに2人の師である佐藤スグルが働いていたことには驚いた。世界は狭い。 ユウたちの麻雀教室は軌道に乗り水戸の麻雀業界は栄え始めた。ユウの教室があるおかげで麻雀人口が増えているのだ。その後何十年にも渡ってユウ、アン、ショウコは水戸から麻雀界のファン人口を増やすことに貢献する。 ヤチヨはセット雀荘で働きながら麻雀作家として活動し、ヒロコはネット雀士として活動した。ヒロコの活動は麻雀系映像創作者、いわゆる麻雀配信者のはしりとなる。 サトコとヤヨイとナツミはジュンコの会社で働くこととなりサトコはジュンコ引退後月刊マージャン部の編集長になり、ジュンコは後に麻雀のできる小料理屋を作りたいという女性に出会い、その手伝いをするようになる。 メグミとアカネは今では女流雀士のリーダーだ。アカネは後に理事となり、そのさらに十数年後、メグミは団体初の女性理事長となる。 そして、ミサトは――「じゃあ、私は行くから。いつでも電話してきてね!」「気をつけてね」 車を購入したミサトはプロリーグも休場して全国をユキと一緒に旅することにした。行く先行く先で麻雀を広めていこうと。時には雀荘の臨時スタッフとして活動。時には学生相手に麻雀教室。麻雀を広めながら2人は日本中を旅した。「ほんとにミサトはタフなんだから。延々と車で寝泊まり生活とか、理解できないわよ」とカオリはつぶやいた。

  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その16 最終話 幸せな大人

    234.一章 最終話 幸せな大人「「ありがとうございました!!」」 試合終了の挨拶をするとインタビューが始まった。『財前カオリ選手! 優勝おめでとうございます!』「ありがとうございます」『今回は初タイトルということでお気持ちはいかがですか!?』「はい、夢のようです。私のような未熟な打ち手が獲れるようなものではないと思っていたので。もちろん、私なりに全力を尽くしましたが、それでも今回は運が良かったなと思います」『ライバルの井川プロとは――──────「ああもう、すごく時間かかっちゃった! 今日はあと数時間しかないのにー!」「カオリ。何をそんなに慌ててるの?」「今日中にやりたいことがあるの! ミサト! 悪いけど私は先帰るから! 今日はいい試合だったね。ありがとう!」「うん。カオリ、すごく強くなったね。……負けたのはやっぱり悔しいけど、成長したあなたと最高の舞台で戦えたことは、嬉しくも…思う。……今日は、おめでとう!」「ありがとう!!」 カオリは急いで駅へ向かい帰りの電車に乗り込んだ。《本当に何をそんなに慌ててるんですか?》(…あなたねー。明日には私が二十歳になっちゃうからもう会えないんでしょ? 今日のうちにたくさんお話ししておきたいのよ! あ な た と !)《ああ、なんだそのことでしたか!》(なんだじゃないわよ! 大事なことよ!)《別に消えると言っても…… ラーシャさんもマナミに憑くのをやめただけで今も居ますしね》(居るってどこに)《部屋に居ますよロフトに。毎晩私と一緒に念で作り上げた牌並べてはあー

  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その16 第十六話 最後の罠

    233.第十六話 最後の罠カオリ手牌一二三四六七八九23334 伍ツモ『ツモりました! 財前! すばらしい!!』『トップ逆転しましたねー! さあ、裏ドラは?』(((せめて裏は乗らないで!!))) カオリの豪快なツモアガリを見て3人がそれを同時に念じた。そう、師団名人戦にアガリやめはない。4000オールならここでミサトを2800点差まくったわけだがそれで「はい優勝おめでとう」と終わるものではない。だからせめて4000オール止まりにして欲しいのだ。6000オールになるのはキツイ。裏ドラ西「4000オール」 3人の祈りは届いてなんとか4000オール止まりだった。(よし、2800点差。そのための前局のダマテンよ)とミサトは思った。この点差ならテンパイノーテンでも再逆転できる。オーラス一本場 ドラ9 左田ジュンコは最後の可能性に賭けて国士無双をやることにした。そこには罠も迷彩も何もない。バレて元々の特攻だった。しかし……。ジュンコ手牌一九①6東東西西北白発中中 ⑨ツモジュンコ打6「ポン」『鳴いた! 白山シオリが叩きました!』『白山の手。倍満級のトップ逆転手まで育つ可能性はありますからね』カオリ手牌二二三四四伍伍⑤⑤⑥⑦⑧南 伍ツモ『さあ財前はテンパイです!』打南「ポン」『あーーーっと! 財前の捨てた南を白山が鳴いた! これ2枚目ですね』『はい、ですので左田の国士は不可能となりました!』(くっそーーーいいとこまで行ったのにお終いかー。あと南と1と9だけだったのにな! まあ、9(ドラ)は白山が固めてそうだけどね……) そう、白山シオリは倍満ツモ条件であるのに6索をポンしたと言うことは役ホンイツトイトイドラ3が本命であり9索はもちろん1索を引く可能性も低そうな感じではあったのだ。白山手牌1133999(南南南)(666) アガリは出ぬまま局は進み15巡目―― 井川ミサトは絶体絶命だった。ミサト手牌一三四六③⑤⑦⑨22289 (クソッ! 全然揃わない。ああ、私はなんでカオリと決勝まで当たりたくないなんて思ってしまったんだろう。おかげで願いが叶ってしまった。最悪な形で。そうよ、カオリの成長速度は凄まじいと分かっていたのに。それなら少しでも早くカオリと当たりたいと思わなければダメだったんだ。成長する前に叩かないと

  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その16 第十伍話 それでもあなたを……

    232.第十伍話 それでもあなたを……オーラス ドラ伍 親のカオリは目一杯まで広く取っていく。まるでマナミのように攻めた手順を採用した。そしてそれはミサトも同じであったしシオリやジュンコもまだ当然諦めていなかった。『さあ、オーラスですがいかがですか小林プロ』『いやー! 見応えある戦いですね。オーラスは点差からして井川有利というのは間違いないんですが、財前カオリは侮れません。なんとなくですけど、やはり彼女がここで一撃決めてくる気が……してしまいませんか?』『確かにそうですね。それに白山も左田も諦める人たちじゃありません。最後まで良い勝負をしてくれるんじゃないでしょうか!』 オーラスはカオリの手が早かった。4巡目カオリ手牌 親番一二三三四六七八九2333 4ツモ『財前! テンパイだ。あっという間に張ったー!』「リーチ」打三『なっ!』『イッツー確定に取りました! 力強い!』《この待ち取りは伍萬がドラなだけに価値がある。リャンメンをカンチャンにして不思議ない手です。あくまで自然ですからね! さあ、ここで伍(わたし)を引いて勝ちましょう!》(…………)カオリツモ七打七《どうして!? なぜ引かないんですか?! もう山にないとか?》(ううん、そうじゃないけど。やっぱり私、能力は使わないでいたいの)

  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その16 第十四話 みんなで来た最高峰の舞台

    231.第十四話 みんなで来た最高峰の舞台南3局 白山シオリの親番 この局のシオリの捨て牌は特殊だった。おそらくはチートイツ狙い。もしやのチャンタや四暗刻も可能性はあるが、まあ確率的に考えて本線はチートイツと読んで良いだろう。 麻雀とは不思議なもので、チートイツとチャンタと四暗刻はそれぞれ全く違う手役であるのに捨て牌は似たような傾向になる。 そんな局の7巡目。カオリの手が整ってくる。カオリ手牌伍六④⑤⑥⑧⑧2345北北 6ツモ ドラ6『おっと、財前カオリ! いい所を引いてきた!』『北を外せばメンタンピン三色ドラ1のハネマンへ進みますね』しかし……(私たちはみんなの知恵を借りてここまで来た! そうだよね、杏奈)カオリ打⑧『おっとこれは?』『なんでしょう…… ⑧筒を先に外して好牌先打(こうはいせんだ)でしょうか?』 いや、そうではない。◆◇◆◇同時刻水戸―― アンは喫茶店仕事の休憩時間に名人戦のLIVEを観ていた。「あっ!! ⑧筒切り! ……これは、私の麻雀だ。ここから⑧筒外しは私の『いい待ちヘッド作戦』だ。親がチートイツやってるから」(……さっきはさっきでミサトさんがユウさんみたいなミスリードする麻雀を披露するし。カオリさんもミサトさんも私

  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その16 第十三話 私の中の佐藤ユウ

    230.第十三話 私の中の佐藤ユウ南2局 井川ミサトの最後の親番 ミサトには非常に期待値の高い手が入っていた。そんな6巡目。ミサト手牌 切り番三三三四七②③④④⑥⑦234 ドラ7 場にはピンズの上がポロポロ出ており⑤-⑧あたりはサクッと引いてこれそうだった。 七切りすれば全箇所で受け入れ豊富なイーシャンテンだ。しかし。ミサト打④『んんんんん??』『井川、これは不思議な選択をしました。何のために七を残したのでしょうか?』『ちょっと、わかりませんね。たしかにこの手に①を引いてしまうと勿体ないとは思いますが……』(解説者さんたちは困惑してるとこじゃないかな。この、ユウがやりそうな選択は。私の中の佐藤ユウがここは七萬を囮に残せと言っているの!)3巡後ミサトツモ⑧『張った! 勝負手』「リーチ」打七 スパッと美しく牌を横に曲げる。その所作一つとってもフリーに通い始めの頃のミサトとはまるで違う。林アヤノを見て習ったプロの所作。井川ミサトもカオリ同様に凄まじく成長していた。同巡カオリ手牌二三四伍六七八④⑤7788 7ツモ ドラ7『あっ! 財前カオリもテンパイしました!』『いやでもこれは、二切りになってしまいますよ!』『もしかして…… いや、間違いない。待ちの反対側となる上の牌を囮として引っ張ることで本命を上だと思わせ

  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その16 第十二話 プロの対応

    229.第十二話 プロの対応 最終戦南入。勝負は後半戦に突入した。親は左田ジュンコ。 左田は親番だからリーチして攻めたいのと最後の親番をなんとかして維持するために鳴きたいのとで考えが決まらず揺れていた。(メンゼンで行くなら役牌はいらない。でも、仕掛けて行く方針も捨てがたい…… どうする) タンヤオもピンフもつかなくする三元牌の存在は扱いの難しい

    last updateDernière mise à jour : 2026-04-05
  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その16 第十話 最高打点になる手順

    227.第十話 最高打点になる手順 池袋―― 雀荘『ペガサス』にて「ナオさん、何見てるんすか?」 財前マナミの実の姉である石井奈央(いしいなお)はパソコンで師団名人戦を観戦していた。「師団名人戦決勝」「へえ、競技麻雀も興味あるんすね」「私の義理の妹がいま決勝戦に残ってるからね」「え

    last updateDernière mise à jour : 2026-04-05
  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その14 第十七話 口は災いの元

    201.第十七話 口は災いの元 準々決勝の左田純子は圧倒的だった。(ジュンコさん絶好調じゃない。強すぎるなぁ。これが決勝じゃなくて良かった)《今は二着でも良いわけですからね。なんとかして猿山プロを捲りましょう》 左田純子はプロ歴は長いがほんの数年前までノンタイトルだった。それがこの数年間で雀聖位を含めた数々のタイトル戦で好成績を残し、仕事の方では編集長になり、更に自分の趣味を目一杯詰め込んだ新しい雑

    last updateDernière mise à jour : 2026-04-02
  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その14 第十一話 本戦1日目終了

    195.第十一話 本戦1日目終了 アンとユキが対局を終えてカオリの所にやって来た。「あ! アンちゃん、ユキちゃん。一回戦どうだった?」 すると2人は残念そうに首を横に振った。どうやら2人は一回戦通過ならずのようだ。まあ、そういう事もあるだろう。むしろよくこんなに勝ち抜いたものだ。アマチュア予選を勝ち抜くだけでもかなり難しいのだから。「そっかー……」「別にこれ1回が唯一の大会じゃないし。また別の大会で頑張りますか

    last updateDernière mise à jour : 2026-04-01
Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status